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要旨

プレイヤー“O”がとあるオフラインゲーム“WASE”でとったオフライン実績トロフィー“PhD”の顛末のお話。

  • プレイヤー“O”がゲーム“WASE”においてチートをした事実を認定する。
  • ゲーム“WASE”のシステムには重大な“バグ”があった事実を認定する。
  • 仮にシステムの“バグ”がなければ、プレイヤー“O”はトロフィー“PhD”を取得できなかったと推定する。
  • ゲーム運営会社“W”の規定によれば、プレイヤーがチートによって得たトロフィーは、剥奪する。
  • しかし前述のシステムの“バグ”のため、プレイヤー“O”は実際にはチートすらせずともトロフィー“PhD”を取得できたと推定する。
  • よってプレイヤー“O”のトロフィー“PhD”は、チートによって取得されたものではなく、システムの“バグ”により付与されたものと認定する。
  • 以上より、プレイヤー“O”はチートをはたらいた不正者であるが、付与されたトロフィー“PhD”は剥奪すべきでない。

なんだかものすごい展開でくらくらしますが、その目眩の部分をより明確に補足しておくと、こういうことです。

  • システムの“バグ”により、トロフィー“PhD”の付与に際して、プレイヤー“O”のプレイ実績は、一切全くチェックされていなかった。
  • すなわち、プレイヤー“O”がトロフィー“PhD”を取得するにあたって、プレイ実績の有無は最初から無関係であり、チートをする必要すらなかった。
  • プレイヤー“O”が(トロフィー“PhD”の取得に直接寄与しない)チートをしていた事実は、トロフィー“PhD”を剥奪する理由にならない。
  • プレイヤー“O”がゲーム“WASE”のシステムの“バグ”を利用したプレイをしていた事実は、トロフィー“PhD”を剥奪する理由にならない。

なんでならないのかと言えば「そういう規定が無かったから」です。つまり「ゲームプログラムのバグを利用してプレイすること。」を禁止行為に入れておかなかったのが敗因であると言えましょう。

(続き)

ソレが禁止行為のリストに入っていなかった以上、ゲーム運営会社“W”の動作としてはこれで法的に正しいものと思われます。あらゆる意味において“W”の無条件降伏宣言であると読み取れます。ゲームシステムの“バグ”という形でペテン師に対して脆弱性を晒したという事実について、その責任を個々のプレイヤーに擦り付けることなく、完全に運営側の失態であると認めている点においては、少なくとも大変に潔いと言えましょう。

唯一の問題は — ゲーム運営会社“W”はサービス産業である前に、まがりなりにも学府であったはずなのに、ということです。

正直、いくら潔いったってちょっと無責任に過ぎる気もするんですが。観測事実がクロだっていってるのに、法典にクロって書いてないから、なんて理由でクロをクロでないナニカに変えちゃいかんでしょうに。法の認める範囲内でしか誤りを正すことが許されない、などというのは既に学術ではない。もっともだからといって、ここで超法規的に剥奪を敢行することが学府として正しい責任の取り方なのかと問われれば、それはそれで確かにちょっと微妙な気もします。いくらペテン師に付け込まれたからって後出しジャンケンでぶん殴って良いことにはならないという「一般社会で通用すべき良識」と、そもそもペテン師を真っ当に取り扱うこと自体が不適切であるという「学術領域において通用すべき良識」の差を埋めるものは何であろうか。腐れチーターが炙り出した現代社会の闇は深い。

140720追記

私がこの文脈で超法規的に剥奪を敢行することに多少の躊躇を感じるのは、それをプレイヤー“O”の件に限って言っているからです。一切の責任がバグにあるというなら、そのバグが生み出した全てを等しく処断しなければ公正ではない。ですから、バグの生じていたシステムによって付与されたトロフィーを、それこそ超法規的に過去に遡って無慈悲に全てrevokeするというのであれば、それは一つの正しい選択ではないかと思います。そしてもしそういう話なのであれば、その判断は今回の調査委員会の職域を超える事でしょうし (報告書が“O”のみならず主査等の量刑にまで言及しているのは報告書が自ら述べているとおり完全な越権です)、そういう流れの上でならば、「プレイヤー“O”の問題」としては剥奪を敢行しない (できない) という結論は、それほど的外れでは無いかもしれない、とも思うのです。チーター憎しで真の敵を見誤るような事があってはならない。

まあもっとも、revoke発動すると言ったら言ったで、バグの影響範囲をどう認定するかが問題になることは想像に難くありませんが。そしていずれにせよ、仮にその結論において結果的な妥当性があるとしても、調査委員会の論理展開がおぞましいほどの阿呆の所行であることは断固揺るぎません。はっきり言ってあの報告書にサインした四名のトクメ・イ・キボウ博士は、ただこの一事だけで学術界から放逐されて然るべきというレベルですよ、ええ。いったいどこの三流国家の国立大学名誉教授なんでしょうか。ていうか本当に実在しているんでしょうか。そもそも学位審査において査読付き公刊論文が云々というのはハードルを上げるための自主規制であって、ハードルをすり替えあるいはすっ飛ばすような方策ではない!

これからゲーム運営会社“W”としての最終的な判断が問われることになりますが、はてさて。